ASP.NET MVC アプリケーションで Ultimate UI for jQuery (Ignite UI for jQuery という表記が使われている場合もあります) のトライアルを開始した場合のライセンス版に切り替える方法について説明します。
目次
- 手順 1: アクセストークンを設定する
- 手順 2: NuGet パッケージ ソースをライセンス版に切り替える
- 手順 3: NuGet パッケージ キャッシュをクリアもしくはライセンス版の NuGet パッケージを NuGet パッケージ キャッシュにダウンロードする
- 手順 4: NuGet パッケージの復元をする
- 手順 5: ライセンス版に切り替わったか確認する
手順 1: アクセストークンを設定する
「アクセストークンを使ってライセンス付き NuGet フィードを追加する方法」を見ながらアクセストークンを設定します。
手順 2: NuGet パッケージ ソースをライセンス版に切り替える
【Visual Studio 2022 を利用している場合】
NuGet の「パッケージ ソース マッピング」の機能を利用し、パッケージ ID が igniteui で始まるものおよび infragistics で始まるものはインフラジスティックスのライセンス版パッケージ フィードから取得するように構成します。
Visual Studio 2022 の詳細なバージョンの違いによって以下で説明する手順が正確に一致しない場合が考えられます。その場合はマイクロソフトの公式ドキュメントを参照の上設定ください。
1. Visual Studio 2022 を起動します。
起動時のダイアログが表示される場合は [コードなしで続行(W)→] をクリックして進めてください。

2. Visual Studio のオプションを開きます。
Visual Studio 2022 が起動したらメニューから [ツール(T)] > [オプション(O)…] を選択します。

3. NuGet パッケージ ソースのマッピングを追加します。
[オプション] ダイアログが表示されたら、左側のカテゴリから [NuGet パッケージ マネージャー] > [パッケージ ソースのマッピング] を選択し、[追加] ボタンをクリックします。

[新しいパッケージ ソースのマッピングを追加する] ダイアログが表示されるので、[パッケージ パターン:] の欄に「igniteui.*」と入力し、[ソース] からは「Infragistics」(または「インフラジスティックス」) の行を選んでチェックを On にして [追加] ボタンをクリックします。

同様にパッケージ パターン「infragistics*」、ソース「Infragistics」(または「インフラジスティックス」) を追加します。

以下のように [パッケージ ソースのマッピング:] に igniteui.* と infragistics* のマッピングが追加されていれば大丈夫です。この [オプション] ダイアログは次の手順 3 でも使いますので、そのまま開いておきます。

【Visual Studio 2019 を利用している場合】
Visual Studio 2019 にはパッケージ ソース マッピングの機能がありませんので、この手順はスキップしてください。代わりに次の手順 3 で ライセンス版の NuGet パッケージを NuGet パッケージ キャッシュにダウンロードします。
手順 3: NuGet パッケージ キャッシュをクリアもしくはライセンス版の NuGet パッケージを NuGet パッケージ キャッシュにダウンロードする
【Visual Studio 2022 を利用している場合】
1. NuGet パッケージ キャッシュをクリアします。
[オプション] ダイアログの左側のカテゴリの [NuGet パッケージ マネージャー] > [全般] を選択し、[すべての NuGet ストレージをクリア (C)] ボタンをクリックします。
💡情報
[オプション] ダイアログを閉じてしまった場合は、Visual Studio のメニューから [ツール(T)] > [オプション(O)…] を選択すると開くことができます。

しばらく処理中の表示がされ、完了すると「NuGet ストレージが yyyy/mm/dd hh:mm tt でクリアされました」とメッセージが表示されますので、[OK] をクリックして、[オプション] ダイアログを閉じます。

以上で NuGet パッケージ キャッシュがクリアできました。
ここで Visual Studio はいったん閉じます。
【Visual Studio 2019 を利用している場合】
NuGet パッケージ キャッシュに残っているトライアル版の NuGet パッケージを削除し、代わりにライセンス版の NuGet パッケージを NuGet パッケージ キャッシュにダウンロードします。
Visual Studio ではなく PowerShell で作業します。
1. 作業フォルダーを準備します。
エクスプローラー等で任意の空の作業フォルダーを作成し、作成した作業フォルダーをカレント フォルダーにして PowerShell のコンソール (ターミナル) を開きます。以降 PowerShell で作業していきます。
2. nuget.exe の最新版を作業フォルダーにダウンロードします。
PowerShell で以下のコマンドを実行します。なお curl コマンドは Windows 10 April 2018 Update から利用できます。
curl.exe https://dist.nuget.org/win-x86-commandline/latest/nuget.exe -o ./nuget.exe
3. NuGet パッケージ キャッシュを削除します。
以下のコマンドを実行し、Ignite UI 関連および Infragistics 関連の NuGet パッケージのダウンロードキャッシュを削除します。
rm $env:USERPROFILE/.nuget/packages/igniteui.* -Recurse -Force rm $env:USERPROFILE/.nuget/packages/infragistics* -Recurse -Force
4. NuGet パッケージをダウンロードします。
対象プロジェクトで使用したい Ultimate UI for jQuery および Ultimate UI for MVC のパッケージ ID とバージョン、そしてパッケージソースとしてインフラジスティックスのライセンス版フィードを明示して、現在の作業フォルダー内に NuGet パッケージをダウンロードします。
コマンドの構文は以下の通りです。
./nuget.exe install {パッケージID} -Version {バージョン} -Source https://packages.infragistics.com/nuget/licensed
例えば Ignite UI for jQuery の NuGet パッケージ (バージョン 23.2.10)、Ultimate UI for jQuery の MVC5 用 NuGet パッケージ (バージョン 23.2.15) をインストールするには、以下のコマンドを実行します。
./nuget.exe install igniteui.jp -Version 23.2.10 -Source https://packages.infragistics.com/nuget/licensed ./nuget.exe install infragistics.web.mvc.5.jp -Version 23.2.15 -Source https://packages.infragistics.com/nuget/licensed
これでライセンス版 NuGet パッケージが現在の作業フォルダー内にダウンロードされるとともに、NuGet パッケージ キャッシュにもダウンロードされました。
PowerShell は閉じます。キャッシュにダウンロードもできたので作業フォルダーも削除して大丈夫です。
手順 4: NuGet パッケージの復元をする
【Visual Studio 2022 を利用している場合】
1. アプリケーションに取り込まれている NuGet パッケージを削除します。
エクスプローラーでソリューションファイル (.sln ファイル) があるディレクトリに移動します。packages フォルダーがある場合はそれを削除します。packages フォルダーがない場合はこの手順は不要です。
2. Visual Studio で対象ソリューションを開き、NuGet パッケージの復元をします。
メニューの [ツール(T)] > [NuGet パッケージ マネージャー(N)] > [パッケージ マネージャー コンソール (C)] を選択します。[パッケージ マネージャー コンソール] ウィンドウが開きます。
[パッケージ マネージャー コンソール] ウィンドウで以下のコマンドを実行します。
Update-Package -reinstall

NuGet パッケージの復元が開始されます。環境によっては完了するまで数分かかることもあります。
途中「ファイル ‘Scripts\Infragistics\ … (省略) …’ は既にプロジェクト ‘<プロジェクト名>’ に存在します。上書きしますか?」と表示された場合は、a と入力して [Enter] キーを押下します。アプリケーション内に取り込まれているトライアル版の Ultimate UI for jQuery のファイルがライセンス版に上書きされます。
コンソールのプロンプトが戻ってくるまで辛抱強く待ちます。
【Visual Studio 2019 を利用している場合】
1. アプリケーションに取り込まれている NuGet パッケージを削除します。
エクスプローラーでソリューションファイル (.sln ファイル) があるディレクトリに移動します。packages フォルダーがある場合はそれを削除します。packages フォルダーがない場合はこの手順は不要です。
2. Visual Studio で対象ソリューションを開き、NuGet パッケージの復元をします。
ソリューション エクスプローラーでソリューションを右クリックし、[NuGet パッケージの復元(G)] を選択します。手順 3 でダウンロードしてキャッシュに保存しておいた NuGet パッケージがアプリケーションに取り込まれます。
3. Ultimate UI for jQuery の CSS ファイルと JavaScript ファイルをライセンス版のものに置き換えます。
Visual Studio から離れて (※Visual Studio は開いたままでも大丈夫です) エクスプローラーでソリューションファイル (.sln ファイル) があるディレクトリを開きます。
- packages フォルダーがある場合:
- packages フォルダーの下、IgniteUI.JP.<バージョン番号>\content\Content フォルダー内の Infragistics フォルダーを対象プロジェクトの Content フォルダーの下に上書きコピーします。
- packages フォルダーの下、IgniteUI.JP.<バージョン番号>\content\Scripts フォルダー内の Infragistics フォルダーを対象プロジェクトの Scripts フォルダーに上書きコピーします。
- packages フォルダーがない場合:
- エクスプローラーで %USERPROFILE%/.nuget/packages を開きます。
- igniteui.jp\<バージョン番号>\content\Content フォルダー内の Infragistics フォルダーを対象プロジェクトの Content フォルダーの下に上書きコピーします。
- igniteui.jp\<バージョン番号>\content\Scripts フォルダー内の Infragistics フォルダーを対象プロジェクトの Scripts フォルダーに上書きコピーします。
手順 5: ライセンス版に切り替わったか確認する
Visual Studio のメニューの [ビルド(B)] > [ソリューションのクリーン(C)] を選択して以前のビルドをクリアし、[ビルド(B)] > [ソリューションのリビルド(R)] を選択して再ビルドします。
アプリケーションを実行しトライアル マークが消えていれば、問題なくライセンス版に切り替わっています。
以上が ASP.NET MVC アプリケーションで Ultimate UI for jQuery のトライアルを開始した場合のライセンス版に切り替える手順です。